市中感染・消毒・除菌など感染症に関する正確な意味はコレ!

感染症に関連する用語の意味

BMSSニュース 2022年9月号

ニュース・新聞・雑誌など新型コロナウイルスに関する情報を目にしない日はありません。

感染症、消毒、除菌、免疫、抗原、抗体、市中感染といったワードも日常の言葉にもなっています。
これらの言葉自体は特別難解ではありません。それゆえに正確な意味や違いを説明できるか?言われると難しいですよね。

今回は、感染症に関する言葉について解説します。
改めて確認していただき、正しい知識と行動に役立てていただければ幸いです。

各用語に関する解説は「病院と清掃の基本と実務」を参考・引用しています。

消毒・除菌・殺菌 色々な言い方があるけど、それぞれの違いは?

コロナ禍以前から消毒・除菌・殺菌という言葉はご存知だったと思います。
漠然と違うことはわかりますが、言葉にして説明するのは難しそうです。
消毒・滅菌・除菌・殺菌をそれぞれ確認しましょう。

消毒

微生物を一定の安全な水準まで殺滅する処理方法です。
「一定」であるがゆえに消毒処理では死滅しない微生物が必ず存在します。
全ての微生物を殺滅する処理方法ではありません。

滅菌

全ての微生物を滅殺させる(限りなくゼロに近づける)処理方法です。

除菌

除菌とは、洗浄・拭き取り(清拭)・ろ過などにより、汚染を一定水準まで取り除く方法です。

殺菌

微生物を殺滅することを言いますが、漠然とした意味合いしか持たな一般的な言い方です。

免疫・抗原・抗体とは?

ワクチンやPCR検査、抗原検査などでよく出てくる言葉ですね。
多くの方のイメージは病原に負けない要素といったものでしょうか。

免疫

病原体を認識し、排除しようとする生体防衛機構(免疫反応)のことです。

抗原

免疫反応を引き起こす物質のことです。細菌やウイルスなどの微生物、注射や経口投与などで体内に入ってきたタンパク質などが抗原となります。

抗体

体内に侵入してきた微生物や、微生物に感染した細胞を抗原と認識して対外へ排除するために作られるタンパク質の総称です。抗体による免疫反応が過剰に働く場合をアレルギーと言います。

感染と発症の違い

微生物が体内に侵入し住み着いた状態を定着と言い、安定して増殖を続ける状態を感染と言います。
感染が原因で、何かしらの症状を表した場合を発症と言います。(発病とも言います)

感染と発症がほぼ同時期に起きる場合と、感染後一定の条件が揃った時に発症する場合があります。

医療関連感染と市中感染

病院内で生体に侵入(これを接種といいます)した微生物による感染を病院感染と言います。退院後に発症した感染症、外来患者や医療従事者の感染症も病院内で接種された感染症は病院感染となります。
最近では医療に関連する感染を広く捉える言葉として「医療関連感染」と言われています。

一方、市井で接種されて起きた感染症を市中感染と言います。

仮に病院内で発症しても、感染が市井であった場合は市中感染となります。しかし、市中感染が病院内で発症し、これが周辺に広まった場合は、医療関連感染となります。

未だ収束の目処の立たないコロナウイルスの感染状況ですが、正しい知識と行動で生活していきたいですね。