ウイルスによる感染経路 空気感染・飛沫感染・接触感染のメカニズムと予防策、主な感染症を解説

空気感染・飛沫感染・接触感染のメカニズムと予防策

BMSSニュース 2022年10月号

2022年9月のBMSSニュースで、「感染症に関連する用語」について解説しました。
今回は、感染症の感染経路について紹介します。

感染経路は大きく分けて以下の3つがあります。
空気感染・飛沫感染・接触感染について感染のメカニズム・予防策・主な感染症について解説します。

空気感染

空気感染

病原体を含んだ飛沫の水分が蒸発し、飛沫核(5μm以下)となったものを気道や気管に吸い込むことで感染します。
空気感染の予防策は、空気を遮断して、人から人への感染を防ぐことが重要です。患者は空調管理のできる個室に隔離する必要があります。

空気感染による主な感染症

結核・麻しん・水痘(みずぼうそう)など

飛沫感染

飛沫感染

咳やくしゃみで飛び散った病原体を含む飛沫(5μmより上)が鼻腔や咽頭粘膜に吸着することで感染します。
飛沫感染の予防策は、標準予防策に追加し、患者・医療従事者・面会者ともにマスクを着用します。
分泌物に触れる可能性がある場合は、接触感染の予防策も必要になります。

飛沫感染による主な感染症

インフルエンザ・風しん・マイコプラズマ肺炎・百日咳など

標準予防策とは?

汗を除く、全ての体液・血液・分泌物・排泄物は感染の危険性があるものとして取り扱います。
具体的な対策方法は、手洗い・手指衛生、ディスポ手袋の着用、マスク・エプロン等の個人用保護具の着用、感染制御の環境整備などがあります。

接触感染

接触感染

接触感染には、直接感染と間接感染があります。
直接感染は、病原体を持っている人と直接接触することで感染します。間接感染は、汚染したドアノブ・手すり・器具などの環境や物を介して病原体が人から人へ伝播し感染します。
接触感染予防対策では、清掃前後の流水と石けんでの手洗いまたは擦式手指消毒薬による手指消毒を行います。

接触感染による主な感染症

MRSAなどの薬剤耐性菌感染症、腸管出血性大腸菌感染症、その他の感染性胃腸炎(ノロウイルス胃腸炎、ロタウイルス胃腸炎)、疥癬(かいせん)など多岐にわたり、接触感染で伝播していく感染症が最も多いと言われています。